オススメ本紹介(1) 小坂修平『そうだったのか現代思想』
自分の話ばかりだとネタが尽きそうだし暗い話ばかりしてしまうので(笑)、今日は少し趣向を変えて、本の紹介を行いたいと思います。
「オススメ本紹介(1)」というタイトルになっていますので、(2)、(3)がこれから出てくるのかと思った方もいらっしゃるかもしれません(笑)。もちろんこのような投稿をこれからも続けていくつもりで番号をつけてみました。僕がオススメの本を紹介する記事として、定期的に投稿していく予定です。
コンセプトとしては、僕が面白いと思った本を他の方にも読んでもらうことを目的としています。
したがって記事も、本の内容にガッツリ触れながら批評をしていくというよりも、本の著者と内容についてごく簡単に紹介した後に、どのような方にオススメなのかとか、なぜオススメなのか、ということについて書いていくことになると思います。
今回紹介させていただくのは、下記の本です。
小坂修平(2002)『そうだったのか現代思想 −ニーチェからフーコーまで−』講談社。
1、著者紹介
では、先ほどの予告通り、簡単な著者紹介をさせていただきます。(本書の表紙内側を参照。)
小坂修平氏は、1947年に岡山県で生まれ、福岡県で育ちます。学歴は東京大学中退。1979年から執筆活動を始めており、哲学や思想を中心に幅広い評論活動を展開しています。
特に、難解に陥りがちな哲学を、水準を落とさずに、平易に解説することでは定評があり、哲学ブームのきっかけを作った方でもあります。
著書には他に以下のようなものがあります。
『ことばの行方 終末をめぐる思想』(芸文社)
『非在の海 −三島由紀夫と戦後社会のニヒリズム』(河出書房新社)
『自分という「もんだい」』(大和書房)
2、内容紹介
続いて簡単な内容紹介をさせていただきます。
現代思想と一口に言っても、非常に多くの思想家がいるわけですが、著者が同書において取り扱っている思想家は、以下のような人たちです。
ニーチェ(第1章)、フロイト(第2章)、ソシュール(第3章)、ハイデガー(第4章)、サルトル(第5章)、レヴィ=ストロース(第5章)、デリダ(第6章)、ジル・ドゥルーズ(第7章)、フェリックス・ガタリ(第7章)、ロラン・バルト(第8章)、ボードリヤール(第8章)、フーコー(第9章)
したがって、主要な思想家はほぼカバーしていることになります。
ご存知の方も多いかと思いますが、現代思想を分かりやすく解説した本っていうのは、けっこうあります。
ただ、この本がよく見かける現代思想の入門書と同じというわけではありません。
著者の小坂さんが前書きにも書いているように、この本には大きな二つの特徴があります。
まず一つ目は、ニーチェからスタートしているところ。
そして、二つ目が「相対主義」をテーマとして掲げているところです。
まず、一つ目の特徴について。
それまでの西洋の哲学を根本から否定したニーチェより現代の哲学が始まった、という考え方は、けっこう一般的なので、ニーチェからスタートしているという点は、他の多くの本と共通する部分でもあるかもしれません。
そして、次に二つ目の特徴である相対主義について。
「相対主義」というと、少し難しく聞こえるかもしれません。そこで、主義を取って、「相対」という言葉について少し説明します。
「相対」は、「絶対」という単語と反対の意味を持つ単語です。物事が、それ単独でというよりは、他のものと関係づけられて捉えられたり、意味をなしたりする、という感じです。
著者は、現代思想が相対主義的であると捉えられがちであることに着目し、それが何を意味するのかということについて考えています。実際本を読んでいると「相対主義」という単語がしょっちゅう出てきます。
3、どのような方にオススメか
ではちょっと話をまとめます。。。
この本は一貫したテーマを据えています。なので、各章が扱っている思想家は異なりますが、それらはバラバラではなく、内容的にとてもつながりを持って書かれているため、けっこう面白く読めると思います。
なので、現代思想の本を読みたいが、教科書を読むようにそれぞれの思想家について網羅的に学ぶのではなく、一冊の本を自然に読むように一人の著者の語り口による現代思想の解説を面白く読みたい、という方にオススメです。